「シリコンウエハーが足りない」、半導体揺るがすもう一つの影
2021.4.26
世界各地の自動車工場が稼働停止に追い込まれるなど、半導体不足が深刻化している。そこに新たなリスクが浮上した。半導体の材料となるシリコンウエハーが足りなくなっているのだ。需要の急増に対応しきれず、2023年には供給不足に陥るとの懸念が業界で広がる。半導体大手は矢継ぎ早に増産を催促するが、ウエハー世界2位のSUMCOなどは慎重姿勢を崩さない。背景には市況に踊らされない固い意志と、技術に裏打ちされた高い参入障壁がある。
中略
もう1つの理由は技術力への自信だ。
英オムディアなどによると、世界のウエハー市場シェアの55%を首位の信越と2位のSUMCOが占め、最先端品になるほど寡占傾向は鮮明になる。半導体の性能は回路線幅に左右されるが、最先端の5ナノ(ナノは10億分の1)メートル向けの材料を量産できるのは、現時点でこの2社だけとみられる。4位の独シルトロニックを買収手続き中の3位台湾・環球晶円(グローバルウェーハズ)も、技術では日本勢に水をあけられている。
SUMCOのウエハーを直径300メートルの競技場に拡大したと仮定すると、グラウンドの高低差は0.1ミリメートル以下でしかない。また、微細なごみも許されない。甲子園球場の広さに例えるならピンポン玉が1つ落ちているだけで不良品扱いとなる。
ウエハーは半導体の品質に直結するため、TSMCなどは先端品向けの開発にSUMCOと信越をパートナーに選ばざるを得ない状況だ。下位メーカーが追いつくには時間がかかるため、度重なる増産要請に対して強気の態度を続けられるのだ。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00289/042600001/
>世界のウエハー市場シェアの55%を首位の信越と2位のSUMCOが占め、最先端品になるほど寡占傾向は鮮明になる。半導体の性能は回路線幅に左右されるが、最先端の5ナノ(ナノは10億分の1)メートル向けの材料を量産できるのは、現時点でこの2社だけとみられる。4位の独シルトロニックを買収手続き中の3位台湾・環球晶円(グローバルウェーハズ)も、技術では日本勢に水をあけられている。
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