1人当たりGDPで
韓国を上回る日が近い
台湾の1人当たりGDP(国内総生産、名目)は2003年に韓国に逆転されて以来、追い付くことができない状態が長く続いてきた。その状況がここにきて、大きく変化している。国際通貨基金(IMF)の推計によると、台湾の1人当たりGDPは3年後の25年に4万2801ドルに達し、韓国の4万2719ドルを小幅で上回る見通しだ。
このIMFの推計は非常に保守的な数値である。台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)所管のシンクタンク、中華経済研究院は、台湾が21年にすでに僅差で韓国を上回っているという試算を出している。その差は数百ドルにすぎないが、台湾人にとっては奮い立たせられる数字だ。
21年は株式市場においても、台湾の上場企業の時価総額が年初から23.7%伸びたのに対し、韓国は3.6%の小幅成長にとどまっている。台湾と韓国の競争におけるスター選手というべき企業の時価総額を比べると、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が5305億ドルであるのに対し、韓国のサムスン電子は3879億ドル(3月22日の終値ベース)となっている。
そして現在の状況は、台韓経済の3回戦目に突入したといえるわけだ。ここで台湾が逆転しようとしている背景にあるのは、韓国経済が壁に突き当たっていることだ。
中華経済研究院の王健副院長は、「韓国経済を支える財閥企業はスケールメリットという点で秀でているが、景気悪化の局面では対応に遅れる面がある」と指摘している。
また経営規模の大きさという点では、韓国の財閥よりも中国企業の方が大きい。そのため、中国企業によって韓国の財閥から市場が奪われ、技術力の面でも逆転されるという現象が起きている。韓国経済は対中輸出に依存して成長を遂げてきたが、もはや対中輸出の大きな伸びは望めなくなっている。
新型コロナウイルスの感染拡大があっても、台湾では都市封鎖が行われず、企業活動が継続でき、輸出の伸びは韓国よりも高かった。この間、台湾ドルの上昇が進んでおり、本来なら輸出には不利な為替環境だ。しかし台湾ドル高のマイナス要素に企業の競争力が勝っており、通貨高は1人当たりGDPを膨らませる結果となっている。
https://diamond.jp/articles/-/299334
台湾が韓国をGDPで間もなく逆転!なぜ「永遠のライバル」に勝てるのか
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