ノーベル賞を長く研究してきた韓国のポハン(浦項)工業大学のイム・ギョンスン名誉教授は、以前、韓国紙の中央日報の取材に「世界中どこへ行ってもわれわれほどノーベル賞を渇望している国はない」と話した。それだけ韓国にとって科学分野のノーベル賞受賞者の輩出は悲願であることがうかがえる。
一方、韓国メディアは、日本はもとより、中国人の受賞動向にも注目した。中国ではこれまで生理・医学賞、文学賞、平和賞で計3人の受賞者(中国国籍保有者を含む)を輩出している。ノーベル賞受賞の「登竜門」とされる英調査会社クラリベイトの「引用栄誉賞」に、ことしは受賞者22人の中に、「単一原子触媒」の概念を初めて提案したジャン・タオ中国科学院(CAS)会員が含まれた。韓国メディアのイーデイリーは「中国本土の機関で働く研究者が初めて選ばれたのは、最近の中国の地位が高まっていることを示している」とするクラリベイトの分析を伝えた。ジャン氏のことしのノーベル賞受賞はなかったが、韓国人または韓国の機関所属の研究者に至っては、「引用栄誉賞」受賞者さえ、2021年にコリョ(高麗)大学の故・イ・ホワン教授が受賞したのが最後で、それ以降、出ていない。
ことしも残念ながら、韓国人のノーベル賞受賞はなかった。韓国では昨今、「ノーベル・ウィーク」前には韓国人の受賞への期待よりも落胆の度合いが増している印象だが、息の長い地道な研究のためには、国家による継続的な支援も欠かせない。イ・ジェミョン(李在明)政権は、来年度の研究開発予算を増やした。韓国政府はことし8月、2026年度の科学技術分野の研究開発予算を前年度比19.3%増の35兆3000億ウォン(約3兆7988億5500万円)とする案を発表した。研究開発予算をめぐっては、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権で削減されたが、ことし6月に発足した李政権は、過去最大規模の予算を編成した。
ノーベル・ウィーク前が「憂鬱」から「期待」に変わるのはいつ?=ことしも韓国人の受賞者はなし
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