セウォル号や梨泰院など惨事の共通点
韓国憲法裁判所の裁判官8人全員が大統領の罷免を決定し、私たちはまたひとつの歴史的瞬間を経験した。
弾劾訴追代理人団のチャン・スンウク弁護士が最後の弁論で引用した「すべてのものが本来の場所に戻る風景、世の中で最も美しい風景」という歌詞のように、私たちは憲法的価値が美しく再確認される瞬間を目の当たりにした。
しかし、法治主義の回復がすなわちすべての傷の癒しを意味するわけではない。
韓国国民すべてが忘れることのできない2014年4月16日。テレビ中継で、セウォル号の沈没を見守らなければならなかった。
多くの乗客が死亡・行方不明となる惨状が次々と報じられ、奇跡は起きなかった。当時、筆者はやっとの思いで妊娠に成功したものの、流産の危険が大きく、毎日を不安の中で過ごしていた。
日曜の朝、世界がひっくり返ったかのような梨泰院惨事の報道が続き、犠牲者は増え続けた。最終的にイベントへの参加を取りやめ、家族でテレビの前に座った。
それから1年も経たない2023年7月19日。海兵隊員たちが救命胴衣なしで捜索作業を行っていたところ、急流にのまれて流された。
私たちは大韓民国の軍人であり、国民であり、大切な息子を失った。立派な若者たちが国家を守る使命を果たすために入隊したが、国家は彼らを守らなかった。
守れなかったのではない。装甲車さえ撤収するほどの急流の川に、救命胴衣も安全ロープもなしに入水しなければならなかった彼らが犠牲になり、傷つき、仲間の死に苦しんでいるにもかかわらず、関係者の一部を除外せよ、容疑事実を削れ、移送を保留せよと、電話を回して責任を軽くしようとした。軍人は国家を守るが、軍人の命と安全は誰が守るべきなのか。
惨事の共通点「国家が国民を守れなかった」
私たちはいま、改めて問い直す。「本来の姿」とは何か。
(時事ジャーナル)
大統領の罷免で「本来の姿に戻った」と自賛する韓国、本当にそうだろうか…
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