「日本は報酬を超えた魅力がある」?
海外人材の紹介などを手掛けるZenkenが実施した海外での就職を希望するインドの工科系大学4年生へのアンケート調査によると、「日本企業で受け取れる年収が米国やドイツに比べて低い」と答えた人の比率が過半数に達した。欧米諸国では賃金インフレが進んでいるほか、円相場の下落もあって、インド人エンジニアにとっても日本企業の賃金が見劣りすることが浮き彫りになった。
ただ、「米独よりも年収が低くても日本で働きたいか」との質問に対しては「はい」との回答が9割近くを占めており、インド人学生には「日本は報酬を超えた魅力がある」と映っているようだ。
低迷してきた日本の賃金は上昇傾向に転じる
調査はZenkenがインド・ベンガルールなどの25の工科系大学で海外就職を希望する4年生を対象に1月2~9日に実施し、905件の回答を得た。ベンガルールはIT産業の集積地として知られ、インドの「シリコンバレー」とも言われる。
アンケートで「日本は米国やドイツなどに比べて年収が低いと感じるか」と聞いたところ、「はい」との回答が54.7%に達した。「いいえ」は45.3%だった。OECD(経済協力開発機構)の2021年の統計によると、米国の平均年収は7万ドル台後半、ドイツは約6万ドルに達した。一方で日本は4万ドル台前半にとどまっている。日本はエンジニアの賃金も米欧に遅れを取っており、有能な人材の採用には不利な状況だ。
日本で働きたい理由は「仕事のやりがい」が最多
「日本の賃金が米国やドイツと比べて安いと感じる」と答えた人に対して、「それでも日本で就職したいか」と質問したところ、「はい」と回答した人は87%に達した。「いいえ」との答えは13%にとどまった。
「日本で働きたい」と答えた人に対して理由を尋ねたところ、最も多かったのは「仕事のやりがい」で64.5%(複数回答)。次に多かったのは「アニメーションなどの文化」が60.3%だった。「治安・安全面」の54.9%が3番目で、日本の生活環境の良さを理解して就職を希望していることがわかる。「物価が安い」との回答も26.5%あった。「別の海外の国で働くためのステップ」(49.8%)、「国はどこでも良く海外で働きたい」(47%)との答えも比較的多かった。
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インドのIT人材、9割が「米独よりも年収が低くても日本で働きたい」
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