■少子化対策では追いつかない
政府の少子化対策と言うと児童手当など金銭的支援と、保育所の整備などが定番だ。民主党政権時代も「子ども手当」が政権の政策の柱だった。その後、自民党政権に戻って、児童手当の拡充に切り替わっている。今回の「異次元の少子化対策」でも、岸田首相は会見で、「児童手当などの経済的支援の強化や学童保育、病児保育、産後ケアなどの支援拡充、働き方改革の推進」を3本柱に掲げている。
どこが「異次元」なのか、おそらく金額を大盤振る舞いして、「過去にない対策」と言うのだろうが、早速、「財源はどうするのか」という声が上がり、挙句、消費増税という話までささやかれる始末。それで出生率が劇的に回復するとは考えにくい。
子育て世帯への経済支援はこれまでも繰り返されている。手当ての拡充だけでなく、高校の実質無償化なども子育て世帯にとっては負担軽減になっている。だが、残念ながら子どもを生む人は減り続けているのだ。これまでの少子化担当相が繰り出してきた政策では少子化に歯止めがかからず、軒並み失敗に終わったということだ。まずはこの反省に立たなければ、少子化は止められない。「異次元」というからにはこれまでの政策の延長線上では意味がない。
もちろん、少子化は様々な政策の「結果」だと言うこともできる。経済政策や教育政策などがすべて絡んでいる。カネをばらまけば子どもを生むという単純な話ではない。長期にわたって経済成長し、所得が増えていくという展望がなければ安心して子どもは産めないし、十二分な教育が国内で受けられる保証も必要だろう。つまり、ひとり少子化担当相だけの問題ではなく、厚生労働相も文部科学相も経済産業相も財務相も皆、責任があるということになる。
逆に言えば、15年にわたって各内閣の大臣たちが取り組んできた結果、少子化が進んでいるのだから、そう簡単にはこの流れは止まらないと見るべきだろう。ではどうするか。
https://gendai.media/articles/-/104414
出生数80万人割れの日本、真剣に「移民政策」を考えないと国家が消滅する
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