数字を通して正しい世界像を把握する大切さを説いた。今回、本書に感銘を受けたジャーナリストの佐々木俊尚氏が、日本の社会課題を含めた未来予測をシュミル氏に聞いた――。
なぜ数字を理解せず、感情や勢いでものごとを判断するのか
【佐々木俊尚(佐々木)】ご著書『Numbers Don’t Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!』を読ませていただきました。圧倒的な数字によるファクトの数々、私がまったく知らなかったこともたくさん記述されており、たいへん強く感銘を受けました。
このような数字に基づいた世界観や考え方、思考の姿勢が、これからの世界には重要なものであると考えます。
ご著書で多く提示されている数字はどれもたいへん強い説得力を持っていました。しかし日本では新聞やテレビも含めて情緒的な雰囲気で伝える報道が多く、SNSでもそうした情緒的な人が多い印象があります。
これは他の国でも同じようなものだと思いますが、なぜ数字を理解できないで、感情や勢いでものごとを判断してしまう人が多いのでしょうか。
【バーツラフ・シュミル(シュミル)】SNSなどでのとっさの反応は、感情のままに応じることになります。というのもとっさのときには、私たちが長い進化の過程で身につけてきた、“fight-or-flight”反応(「闘争・逃走反応」=恐怖への反応として闘うか逃げるかを準備すること)を示すからです。
感情を抑えて熟考し、一歩下がってある程度先の見通しを立てれば、闘うのも逃げるのもよくなくて、理性的に考えて行動していくのがいちばんだという結論にいたるかもしれません。
そのためには状況をしっかりと把握し、慎重に検討し、強い意志を持たなければなりませんが、それは感情や勢いにまかせて行動するよりも、はるかにむずかしいことなのです。
しかも、だれもが自分の感情や偏見を世に広めたがるような、こんにちの「ポスト・ファクチュアルな(事実を超越した)」電子メディアの世界においては、残念ながら闘争・逃走反応が幅を利かせています。明るい未来が近づいているとは、とても言えません!
https://president.jp/articles/-/50948
「少子高齢化で日本社会は崩壊する」は世界のリアルを無視した真っ赤な大ウソである
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