三万年前、日本人の祖先がどのように海を越えてきたかを探る実験航海に挑んだ国立科学博物館のチームが九日、丸木舟で台湾から二百キロ以上離れた沖縄県・与那国島に到着、実験は成功した。
地図や時計は持たず、星や太陽の位置で方角を判断しながらの旅。流れの速い黒潮を横切り、夜を徹して丸二日近くこぎ続けた。
エンジン付きの船で丸木舟に付き添ったチーム代表の海部陽介・同博物館人類史研究グループ長(50)は「一時は方向を見失いどうなるかと思ったが、到着でき本当によかった」と話した。こぎ手の五人は疲れているが健康状態に問題はないという。こぎ手のキャプテン、原康司さん(47)は上陸後、「完璧な航海だった」と語った。
日本列島には、朝鮮半島やサハリンからとは別に、大陸と地続きだった台湾から海を越えて渡来した人々がいたと考えられている。ただ、どんな舟や航海技術を使ったかは分かっていない。今回の方法が実際に使われたとは限らないが、当時の技術水準を知る手掛かりになりそうだ。
チームは二〇一六年以降、草の舟や竹の舟で実験したが、黒潮を渡りきれる速度が出せず失敗。最後の挑戦となる今回は丸木舟を使うことにした。
石おので杉を切り倒し、中をくりぬいた舟で、長さ約七・五メートル、幅約七十センチ。シーカヤックの熟練者ら男女五人が乗り、伴走船とともに七日午後、台湾東岸を出発していた。
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019070902000299.html
丸木舟の実験航海が完結 台湾から200キロ以上離れた与那国島に到着
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