金融広報中央委員会(事務局・日銀)が10日発表した2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上の世帯のうち、将来に備えた預貯金や株などの金融資産を持たない世帯の割合は31・2%(前年は30・9%)と、過去最高となった。資産を持つ世帯が株高の恩恵を受ける一方、持たない者との格差が縮まらない傾向がうかがえる。
単身世帯で資産を持たない割合は46・4%と、過去最高だった前年(48・1%)より、わずかに下がったが低調が続く。実際、リーマン・ショックの影響を受けた2009年でも、金融資産を持たない2人以上の世帯は22・2%、単身世帯は29・9%にとどまっていた。金融資産を持たない世帯の比率は、一段と上がる傾向にある。
一方で金融資産を持つ世帯に限定すれば、株高の恩恵はある。だが、株高の恩恵が全体に広がっているとは言えない。単身全世帯の保有資産額の平均は942万円と過去最高だが、資産が多い順に並べた真ん中の「中央値」は32万円と低水準。平均より中央値の方がかなり少なく、こちらの方が単身世帯の保有資産の実態を反映している。
大和総研の菅原佑香研究員は金融資産0が多いことについて「特に若い世代は非正規などの不安定な雇用が影響しているのでは」と分析。その上で、「一定の資産を持てなければ、家庭を持つことを躊躇しかねない」と懸念を示した。
http://amp.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201711/CK2017111102000132.html
グラフ
金融資産を持っていない世帯の比率
青が単身世帯
紫が2人以上の世帯
金融資産「0」、過去最高31.2% 中央値は32万円 格差拡大
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