日本を外から見ていて、国際関係上、非常識、国際的信用を下げることが起こってしまったと感じる。
日本が主張する事が、いかに米国から見たイメージを悪化させるかについて、考えたことがあるのだろうか。
慰安婦問題を否定しようとすることで「人権を軽視し、女性差別的な国」という印象を与える日本の行動が、国際的に「日本の名誉」をかえって損なうものであることは容易に想像できそうなものだが、自国しか見えないのであろう。
偏狭なナショナリズムは政治を世界に対し盲目にするという。
慰安婦問題に対し、日本政府の主張を支持する米国の有識者は皆無といって良い。
親日家を含め、米国の有識者での日本への評価は、筆者の観察では日本が慰安婦問題の存在自体を否定するような発言や行動をすればするほど悪くなってきている。
将来の日米関係一般にも悪影響しかねない状況だ。
今回の関係解消について、国内の政治的空気を読んで一種の芝居(パフォーマンス)をしたのだろうが、歴史評価問題に関し日本の人権意識の低さを国際的に印象付けると言う「負の外部効果」を生み出しただけでなく、サンフランシスコ市内の日系人社会に無用の分断と対立を生み出し、また経済的にも文化的にも発展し続けるサンフランシスコ市という魅力的な都市との交流という将来を一時の政治的判断で潰してしまった。その社会的損失は極めて大きいと考えられる。
シリコンバレーを近くにもち、グーグル社を含めIT関係の会社もひしめくサンフランシスコ市は住民の生活の質(quality of life)指数では全米トップの都市であり、有効活用されれば将来的にも十分、日本側にとって恩恵をもたらすものである。
サンフランシスコ市との60年の伝統、繋がりを破壊するとは、権限の乱用ではないのか。
(シカゴ大学教授・経済産業研究所客員研究員 山口一男)
http://www.huffingtonpost.jp/kazuo-yamaguchi/san-francisco-osaka_a_23289702/
サンフランシスコ慰安婦像 日本政府を支持する米国の有識者は皆無、国際性に反する
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