今回、私が一番驚いたのは、この韓国の教科書に書かれた歴史観でした。この国の歴史観は日本にとって脅威だといっても過言ではありません。世界の教科書の中でも極めて珍しい、「テロリスト史観」によって貫かれているからです。「我が国の先達はここまで追い詰められ、テロをせざるを得なかった」、そういった歴史が延々と綴られているのです。
歴史の書き換えを行ったり、肝心なことを記さないのが韓国の歴史教育のもう一つの特徴です。たとえば、豊臣秀吉の朝鮮出兵という「敵対の歴史」は数ページに渡って記しても、江戸時代の朝鮮通信使のような「友好の歴史」についてはほぼ言及がない。
(中略)
文明国において、テロによって現状を打破する試みを褒め称えることは、通常考えられません。しかし、韓国は違う。伊藤博文暗殺に「成功」した安重根よりも、天皇暗殺に「失敗」したテロリストについて詳しく書いています。さらに言えば、これらの記述からは、天皇暗殺という動機を掲げただけで称賛に値し、手段や結果はどうでもよいという場当たり的な思考も見え隠れしています。
この教科書で教えられるのは「我が国のテロリズムの歴史はこれだけ長い」ということに他なりません。イスラエルでもアイルランドでもそういった教育はしていません。韓国は“恨”の文化といわれますが、教科書も怒りに突き動かされて作られている。カーッと頭に血が上る怒りの感情が底流を貫いているようです。
(中略)
韓国の歴史教科書では、自民族内での同質化の比重が非常に高いため、普遍性がありません。ありていにいえば、この教科書を学んでも世界と渡り合う客観的な知性や歴史観を持てるとは思えない。これが、中国やロシアの教科書との最大の違いです。しかし、隣にこうした歴史観を持った国があることは、我々も改めてしっかりと認識しておかねばなりません。
http://bunshun.jp/articles/-/4520
【佐藤優】北朝鮮より過激な韓国「歴史教科書」のテロリスト史観
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