韓国の青年が、北から南へ日本列島を歩いている。ところどころで立ち止まり、行き交う人と抱き合う「フリーハグ」で交流。今月9日、大阪・ミナミの戎橋に立ったところで思いを聞いた。
韓国・大邱(テグ)出身の鄭基鉉(チョンギヒョン)さん(30)が、札幌市を発ったのは6月23日。それから歩きに歩いて今月、関西に着いた。
夜は支援者宅に泊まり、テント泊も少なくない。仙台市、盛岡市、東京……と繁華街で、フリーハグをしてきた。
5年前から世界を旅行中で、これまで52カ国を訪ねた。芳しくない日韓関係。鄭さんの気がかりは歴史認識だ。
鄭さんは、日本軍の「慰安婦」問題について、日本政府が事実を認めて謝ることが大事だと考えている。2015年末の日韓合意以降、鄭さんによると、韓国の若者の間で急速に関心が高まっているという。ただ、「大きな集会を開いて、大声で訴えるのは私の方法ではない」。
そこで日本を歩くことにした。ハグを通じて自分に親しみを感じてくれれば、政治や報道、インターネットによって増幅された韓国への警戒心を解いてくれるきっかけになるのではないか。それが話し合いと相互理解の第一歩になるのではないか。そう考えた。
韓国でリュックの太極旗は危険だと警告してくれた人もいたため、日本での出会いや会話の数々を、フェイスブック(FB)などSNSにせっせと投稿して発信している。「これが私の方法です」
戎橋では老若男女が駆け寄ってくれた。21歳の女性2人組は「イケメンとハグできてうれしかった。韓国との関係、よくなればいいな」「そうだよね」。15歳の女性4人組は「歴史は苦手やねん」「お隣やから仲良くやろ」。
FBで鄭さんの活動を知り、一緒に戎橋に立ったイ・ホジュンさん(20)はソウル出身で、日本語学校に留学中だ。「めっちゃ楽しくて、この感動は言葉で表現できません」
ゴールは沖縄・宮古島。鄭さんは「私たちが歴史に向き合うことで、次の世代が笑顔で語り合える関係になればと思います」と話している。
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/CMTW1708142800001.html
30歳の韓国の青年が日本列島を行脚しフリーハグ「日本政府が事実を認めて謝ることが大事」
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