2010年、日本と中国が尖閣諸島をめぐって対立した際、中国は新たな武器を投入した。自動車からミサイルまで、あらゆる工業製品に使用される鉱物であるレアアースに、非公式ながら禁輸措置を敷いたのだ。
それ以来、こうした経済的圧力の行使は一般化した。中国は2025年、米国に対してもレアアースの輸出規制を強化することで、米国に貿易戦争において譲歩を引き出すことに成功した。
ここにきて、またしても日中関係が暗礁に乗り上げている。日本の高市早苗首相は11月7日、台湾有事は集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」になり得ると発言した。この発言に中国は激しく反発し、日本への空路直行便の一部を停止し、自国民に日本への渡航自粛を呼びかけた。また、15年前に対立の原因となった、中国側が「釣魚群島」と呼ぶ尖閣諸島の近海に、海警局の船舶を派遣した。
日本政府関係者は、経済紛争のさらなる先鋭化に備えている──ただし今回、日本には十分な備えがある。日本がこの15年で学んできた教訓は、レアアースを利用して圧力を行使する中国への対応に苦慮する他の国々にとって、参考になるかもしれない。同時に、こうした対応がいかに困難であるかを浮き彫りにするものでもある。
2010年に起きた尖閣危機の発端は、尖閣諸島近海で操業していた中国漁船が、退去を命じた日本の海上保安庁巡視船に衝突し、破損させた事件だった。当時、日本はレアアースの約90%を中国からの輸入に頼っていた。中国が禁輸措置を敷いたことで、日本の製造業は全面停止に陥りかけた。
日本は、公務執行妨害で逮捕した中国漁船の船長を速やかに釈放し、これを受けてレアアース輸出は再開された。一連の経緯から、日本が学んだ第一の苦い教訓を、米国も2025年になって学んだ。切り札は、短期的には中国の手の中にあるのだ。
尖閣危機の直後、日本はレアアースのサプライチェーン整備のため、1000億円の補正予算を成立させた。さらに、レアアースに関して中国に羽交い締めにされた状況を打開すべく、国家戦略を策定した。その内容は、中国に代わるレアアースの輸入元の確保、レアアース使用量の削減、次なる危機に備えた備蓄といったものだった。
「レアアースの中国依存」を軽減してきた日本から、世界は何を学べるか
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