9月下旬、米トランプ政権が半導体の国内サプライチェーン(供給網)を強化するため、新たな輸入抑制策を検討していると報じられ、世界のハイテク業界に波紋が広がっている。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが報じた計画の核心は、半導体メーカーに対し、米国内での製造量と、その顧客による輸入量を「1対1」に維持するよう義務付ける点にある。
達成できない場合は高い関税を課すとしており、補助金中心だった従来の国内回帰策から、より強制力を伴う政策へと踏み出す可能性が浮上している。
米政府は、2022年の「CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act of 2022)」によって、国内外のメーカーに巨額の補助金を投じ、米国内工場の建設を促してきた。
しかし、製造コストの差から、顧客であるハイテク企業は依然として安価な海外製品を優先する傾向が強い。
この「1対1」の比率を長期的に維持できなければ、約100%とみられる高関税の対象となる。 ただし、国内投資を促す仕組みも盛り込まれている。
例えば、ある企業が米国内に新工場を建設し、将来的に一定量の半導体を製造すると約束した場合、その数量分の「クレジット」が付与される。
これにより、工場が稼働するまでの間、関税を支払うことなく海外からの輸入を継続できる。加えて、制度開始時に一定の猶予期間を設けることも検討されている。
業界に明暗、巨大テックに逆風か
この計画が実施されれば、業界内の力関係が変化する可能性もある。
米国内に工場を持つファウンドリー(半導体受託製造)には追い風となるだろう。
米グローバルファウンドリーズ(GF)や台湾積体電路製造(TSMC)、米インテルなどは、輸入に頼る米アップルや米デル・テクノロジーズといった巨大ハイテク企業との価格交渉で優位に立てる可能性がある。
トランプ政権、半導体で新方針か 「国産1対輸入1」報道、国内回帰へ次の一手
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