米国は9日、通貨危機に見舞われているアルゼンチン政府に200億ドル規模の通貨スワップを提供すると表明した。通貨スワップとは両国が相互に自国通貨をあらかじめ定めた為替レートで差し入れ、外貨を融通できるようにする契約を指す。「南米のトランプ」と呼ばれトランプ米大統領とも近いアルゼンチンのミレイ大統領が率いる右派政府が政治的危機に直面すると、その救済に米国が乗り出した格好だ。一方、トランプ政権は同盟国である韓国との通貨スワップには消極的だ。関税交渉が難航する中で韓国政府は無制限の通貨スワップを要求し「十分条件ではなく必要条件」だと言ったが、米国は特に立場を明らかにしていない。
■トランプとミレイの「特別な関係」
ベセント米財務長官はワシントンを訪問したアルゼンチンのカプト経済相と9日まで4日間にわたり会談を行い、ソーシャルメディアに「トランプ(政権)の米国優先主義の経済リーダーシップは公正な貿易、対米投資を歓迎する同盟を強化することに専念している」とし、「アルゼンチンは深刻な流動性不足に直面しており、それを速やかに解決できる国は米国しかない」と述べた。その上で、アルゼンチンとの200億ドル規模の通貨スワップを確定させ、アルゼンチンペソを直接買い入れたと説明した。米国が相手国の通貨安定に向け、国際通貨基金(IMF)などと連携することなく、「ペソ直接買い入れ」のような一方的支援を行うのは極めて異例だ。発表を受け、アルゼンチン国債価格は上昇し、ペソも0.6%反発。1週間前の水準に回復した。
トランプ政権による全面的な支援の背景には、「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」を唱えるトランプ陣営に馴染み深いミレイ大統領が率いる右派政府が経済危機で崩壊しかねないという不安感があった。2023年に就任したミレイ大統領はは徹底した金融引き締め政策など経済改革にかじを切り、成果を上げた部分もあるが、人為的な為替防衛が通貨危機を悪化させ、最近経済・政治全般が揺らいでいる。また、今年4月にIMFから200億ドルの追加支援を受けるなど、依然として債務に苦しんでいる。先月7日、全人口の約40%が住むブエノスアイレス州の州議選でポピュリズム傾向の野党連合に敗北し、今月26日に予定される中間選挙でも敗色が濃厚となっている。
同盟国・韓国との通貨スワップに消極的な米トランプ政権
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