関税を「唯一の交渉カード」として多用してきたドナルド・トランプ米大統領が、今度は映画産業に照準を合わせる発言を繰り返し、世界の注目を集めている。米国を再び偉大に(MAGA)との旗印の下、米国外で製作された映画作品に対し関税100%を課す構想を示したもので、実施となれば、映画・ドラマ輸出が盛んでストリーミング依存度も高い韓国が大きな影響を受ける可能性がある。
韓国紙『コリア・タイムズ』によると、世宗大学の金大中(キム・デジョン)教授は、外国映画・コンテンツへの関税100%はWTO規則に「極めて」抵触する恐れが高く、同盟国間の外交摩擦を招くと指摘する。
韓国は現時点で米国との新たな通商合意を結べておらず、主力輸出品の自動車が日本勢より高い関税を課されるリスクを抱えるなか、トランプ氏が海外製作映画への関税を検討しているとの報は、Kカルチャーで存在感を高めた同国に再び不安を呼んでいる。
金教授は「韓国の映画・ドラマはNetflix、Disney、Amazon Prime Videoなどを通じ世界配信されている。輸出・投資比率が非常に高いため、政策が実行されれば直接打撃となる」と述べる。高関税や各種制限は、コンテンツ企業の損失拡大と投資・新規プロジェクト縮小を招きかねないという。その上で、業界には「最悪シナリオを恐れるより、発想を転換し、アジア、欧州、中東など他市場の開拓で販売先を多角化し、単一市場依存を避けるべきだ」と助言した。
金教授は、業界への助言として「全面崩壊や最悪シナリオを恐れるより、発想を切り替え、この局面を活かして販路を多角化すべきだ」と強調。具体的には、アジア/欧州/中東など新規・周辺市場での展開を拡大し、作品の海外販売をより多様化して単一市場への依存を薄めるよう促した。
海外製作映画への高関税は、トランプ氏が打ち出したプランの一つだ。実際、同氏は5月に商務省へ「外国映画に関税100%を課す準備」を指示したとSNSで明言し、その後の投稿でも方針を再確認。「米国の映画製作は長年、他国に“赤ん坊からキャンディーを奪うように”奪われてきた。無能な知事の下でカリフォルニアは特に深刻だ。この終わりなき問題を解くため、米国外で製作されたすべての映画に100%の関税を課す」と述べている。
トランプ氏「外国映画に関税100%」構想 韓国ドラマ・Kカルチャーに直撃の恐れ
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