貧困国から高度成長を遂げ、軍事独裁体制から民主主義国家へとめまぐるしく発展した韓国は、今や先進国の一員に名を連ねる。かつて支配を受けた日本に対しても、憧れを抱きつつ「脅威」を感じる複雑な心理から、「対等」な意識へと変化しつつある。
◇「経済侵略」を警戒
国交正常化前年の1964年、韓国では学生の反対デモが激化した。当時の韓国紙によると、デモで掲げられたプラカードには「日本財閥の斥候兵を踏みつぶせ」「(国交正常化は)第2の韓日合邦」などと書かれ、経済が日本の影響下に置かれることを危惧する主張が多く並んでいた。日本による支配の記憶が鮮明な当時、多額の経済協力を伴う国交正常化は、国家発展に資するという朴正煕政権の思惑とは裏腹に、新たな「侵略」を想起させていた。
長らく、韓国にとって、日本は支援してくれ、見習うべき先進国であると同時に「脅威」であり続けた。98年に日本の大衆文化開放に踏み切った金大中元大統領は後に「国内では開放は時期尚早という意見が優勢だった。文化植民地になり得ると憂慮されていた」と回顧。2003年に始まった日韓自由貿易協定(FTA)交渉がわずか1年で中断したことについて、日本外務省幹部は当時、「日本製品がさらに押し寄せてくるという韓国財界の懸念が大きい」と説明していた。
◇1人当たりGDP逆転
しかし、国際通貨基金(IMF)の統計によると、24年に韓国の1人当たり名目GDP(国内総生産)は3万6130ドル(約530万円)となり、日本の3万2500ドル(約470万円)を逆転。社会のIT化は日本より先行し、Kポップやドラマなど「韓流」文化は、世界的人気を得ているという自負心も強まっている。日本に対して劣等感と反発が混在する既存の世代とは異なり、若い世代は「先進国的アイデンティティー」(韓国の民間シンクタンク、東アジア研究院の孫洌院長)を持つと言われる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062200319&g=int
「脅威」から「対等」に 韓国、変わる対日意識―先進国化で共通の課題
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