韓国大統領選は尹錫悦前大統領の弾劾罷免という異例の経緯をたどったことから、通常設けられる2~3カ月間の政権引継ぎ期間が省略され、選挙翌日の4日に李在明新政権が発足した。李氏は経済成長の鈍化や世界ワースト水準で進行する少子化など、山積する内政課題への対応を迫られる。
大統領選期間中、新政権で実現を目指す公約集を発表したのは、与党「国民の力」側が5月26日、李氏の最大野党「共に民主党」側が28日。投開票日を約1週間後に控え、すでに在外投票などが終わった後だった。違法な非常戒厳を宣布した尹氏への判断が主な争点となったことで政策論争が深まらず、「歴代で一番遅く公約集が発表された恥ずかしい選挙」(東亜日報紙)となった。
しかし、内政上の課題は待ったなしの状況にある。とりわけ世界でも類を見ないスピードで深刻化する少子化問題では、女性1人が生涯に産む子供の推定数を示す合計特殊出生率が昨年、0・75を記録。政府の推計では、青少年(9~24歳)人口が今年の約762万人から、2040年には約456万人と約4割減少する見通しだ。
共に民主党は子供の数に比例した税負担軽減や保育費支援の拡大を訴える。しかし、韓国政府は06~21年に計約280兆ウォン(約29兆円)を少子化対策に投入したが効果は薄く、今後有効な対策を打ち出せるかは未知数だ。
また、経済環境の悪化も深刻な状況にある。トランプ米政権の高関税政策で輸出企業が打撃を受ける中、韓国銀行は5月29日、今年の国内総生産(GDP)成長率の推定値を従来の1・5%から0・8%に下方修正した。韓国で成長率が1%を下回れば、通貨危機に見舞われた1998年や新型コロナウイルス禍の2020年に次ぐ非常事態となる。
そのほか、年金改革や医師不足の解消に向けた大学医学部の定員増など、保革両陣営の歴代政権で解決を先送りにしてきた課題も待ち構える。
李在明新大統領は当選前だった5月末の会見で、カナダで今月15日から開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)への招待国参加などを見送り、内政に優先的に取り組む意向を示唆した。
https://www.sankei.com/article/20250604-GRHVJTWMVVKKRMIJTHGR7SQMYE/
世界ワーストの少子化、低成長…内政課題だらけの李在明政権 G7招待も参加は見送り
104
ツイートLINEお気に入り
67
34