韓国保健医療研究院(NECA)は6月1日、成長ホルモン注射剤の処方実態や使用目的、認識などを総合的に分析した研究結果を発表した。これは非保険(自費)診療領域における成長ホルモン使用の実態調査として初の事例となる。
成長ホルモン注射は、成長ホルモン分泌不全などの医学的適応がある「低身長症」の子どもにとって効果的な治療法として広く使われてきた。しかし近年は、診断を受けていない一般の小児・青少年にも「背を伸ばす」ことを目的に使用されるケースが増え、これに伴う副作用の報告も毎年増加している。
NECAは、過去5年以内に成長ホルモン注射を使用した経験のある保護者1000人へのアンケート調査を実施した。それによると、約60%が「健康に問題のない子どもに対し、単に身長を伸ばすために使用している」と回答した。
これは、健康保険で成長ホルモン注射が給付される基準(同年代100人中3番目以下の身長)に該当する小児の割合が41%未満であることと照らし合わせると、治療の必要性と実際の使用目的との乖離が大きいことを示している。
成長ホルモン注射剤の市場も急成長している。2019年から2023年の間に、同注射剤の供給額は約2.5倍に増加し、2023年には約4800億ウォン(約480億円)に達した。特に2023年には、供給の54%が小児科、34.9%が一般診療科だった。地域別ではソウル(41.7%)、京畿道(20.0%)に集中しており、特にソウル・江南区の医療機関数が最多だった。
健康保険請求の実績も急増しており、2023年には3万7017人が成長ホルモン注射を保険請求し、10年前の約7~8倍にまで膨らんだ。
また、注射剤使用に伴う費用負担も重く、保護者の多くはサプリメント、機器療法、漢方薬などと合わせて毎月平均20万ウォン(約2万円)を子どもの身長のために追加で支出していると回答した。
しかし、多くの保護者が「成長ホルモン注射の投与時期や種類、副作用に関する情報が不足している」「医師によって診療方針が異なる」などの不安を抱えていた。
NECAは「子どもの背に対する社会的関心の高さが浮き彫りになった一方で、効果が証明されていない方法への過度な依存はリスクを伴う」と警鐘を鳴らし、国家レベルでの教育や広報活動の必要性を強調した。
NEWSIS/
「子どもの背が伸びるなら」…韓国・保護者の6割、治療目的ではない成長ホルモンを注射
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