国家公務員である韓国教育部の職員が10日、自身の子が通う小学校の担任教師に9つの要求事項を書いて送っていたことが明らかになったが、その手紙が公開されたことで世論に火がついた。最近暴露されている保護者による数多くの「とんでもない苦情」事例の中でも、最たる物だ。この手紙はインターネット上で、高麗の初代王「太祖」王建が後世の王のために残したと言われる「訓要10条」をもじって、「訓要9条」とも呼ばれている。
教員団体がまとめた保護者からの苦情事例を読むと、相当数が「訓要9条」にソックリだ。代表的なのが「うちの子は敏感だから」シリーズだ。「『うちの子は敏感だから』他の子にかんしゃくを起こしてもひとまず共感してほしい、他の子の前で褒めてやる気を出させてほしい、他の子は褒めないでほしい、給食に肉のおかずを必ず入れてほしい、用事をさせて見栄えがするようにしてほしい、前の席に座らせてほしい、聴覚が敏感だから音楽の授業はしないでほしい、授業中に大声を出さないでほしい…」などなど、キリがない。
特異な単語がないだけで、「同年代と確執が生まれたら徹底的に味方してほしい」「お願いするような言い方で言え」「嫌だという食べ物を無理やり食べさせるな」「称賛と謝罪が足りない」という「訓要9条」の手紙と変わらない。子どもたちが学校で集団生活をする中で、不慣れな状況や不便な状況に適応し、怒り・挫折・恥ずかしさのような否定的な感情を鎮め、気持ちを立て直す方法を学んでいくという事実に背を向けている。教師1人が20人以上の子どもを担当しているという現実も無視されている。子どもと学校の両方を台無しにする行為だ。
「王のDNA」のような荒唐無稽な事例は世論を簡単に動かすが、それ故に真摯な自省もなく、やり過ごす「すき」もできてしまう。問題が「一部の特異なクレーム」にあるかのように指摘され、受け流されがちになるからだ。だが、学級崩壊を招くのは、エセ科学に陥った人や特別な仕事をしている人のような特異な人に限ったことではない。学校の現場に立つ人々は皆、口をそろえて「普通の保護者の多くが子どもを前面に立てて荒唐無稽な要求をしながら、それが問題であることに気付いていない」と訴えている。
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「王のDNA」と「特別なうちの子」【朝鮮日報コラム】
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