(ブルームバーグ): シンガポールを拠点とするヘッジファンド運営会社タイムフォリオ・アセット・マネジメントは、中国と日本の一部自動車メーカーの株式を空売りしている。世界の電気自動車(EV)市場で韓国勢に競り負けるとの見通しに基づいている。
同社のジェ・リー最高経営責任者(CEO)は、「世界でEVが浸透するにつれ、日本の自動車メーカーは本当に苦しむと私は思う」とインタビューで発言。「EV分野で韓国勢は日本の自動車メーカーをより長期にわたってアウトパフォームしそうだ」と語った。タイムフォリオのファンドは韓国の現代自動車と起亜自動車の株式を保有する。
同社は、韓国の親会社タイムフォリオ資産運用と共に30億ドル(約4300億円)の資産を運用。ホンダと日産自動車の株式を空売りしており、中国の蔚来汽車(NIO)と小鵬汽車の株式についても小規模なショートポジションを保有する。これら中国勢の株価は大きく上昇しているが、競争激化を背景に弱気ポジションをさらに構築する可能性を見いだしている。
リー氏は中国株全般について、「当社ファンドは今年、上昇するたびに売却してきた」と説明。中国の「政策当局者が低迷する経済を再活性化できるとわれわれはまだ確信を持てないため、中国株を本格的に買う用意はない」と語った。
タイムフォリオは自社ファンドの好調なパフォーマンスの理由について、昨年11月から米エヌビディア株を買い増すなど人工知能(AI)関連銘柄への時宜にかなった投資を挙げた。リー氏によると、韓国のEV用バッテリー関連株を買い持ちしながら中国の同業についてはショートにしたことも好成績に寄与した。
最近のエヌビディア株の利益確定売りは「非常に健全な調整」であり、同社株は小休止後に再び上昇する公算が大きいと、同社のシニアポートフォリオマネジャー、ナルシ・チャン氏は予想した。同社ファンドは半導体メモリー株を引き続きオーバーウエートとしているが、AIをテーマに大きく上昇したSKハイニックスについては「やや慎重」になっているとした。
ホンダや蔚来をヘッジファンド空売り、EV競争で韓国に敗れると予想
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