現在、西側とは地理的な概念ではない。西欧の価値観や利益を共有し、その体制に属するということを意味する。かつては共産主義諸国が、現在では権威主義の独裁諸国が、その正反対に位置する。こうした点で、韓国は確実に西側の国だ。20世紀以降、政治・経済・文化の全ての面で西側世界の枠組みの中で成長した。国体は市場資本主義・自由民主主義・三権分立など西欧的価値に基づいている。米国と西側諸国がおよそ70年前に自国民15万人を犠牲にして守った国で、彼らとの交流・協力を通して世界10大経済強国へと成長した。今では西側を代表する先進8カ国(G8)候補にまで挙げられている。
だが、韓国の国民はもちろん政治家たちも「韓国は西側の国」だという命題の前に首をかしげている。果ては、こうしたアイデンティティーをあいまいにすることが「国益」にかなうと考える人々もいる。「安米経中」のように、グレーゾーンで実利を得ようという浅薄な論理が賢明な知恵であるかのように受け入れられている。こうした思考方式がひそかに広まったことで、同盟国の議会代表を門前払いしておいて「国益のための選択」という詭弁(きべん)が登場する。定見なく信頼をそぐばかりの行いを「国益」と装うことに慣れている。
アイデンティティー不足は、未成熟な人間の特徴だ。韓国も、今こそそうした段階から抜け出すべきではないだろうか。世界が新冷戦へと向かう中でどのような戦略を立てるにせよ、「西側の一員」だという自己認識は確実であるべきだ。イソップ童話の「ひきょうなコウモリ」の話のように、あいまいなアイデンティティーに溺れて右往左往しては、どちらからも捨てられることになる。国際社会でも例外ではない。
https://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2022081980115
【コラム】「韓国は西側なのか、西側ではないのか」
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