ファウンドリは、半導体業界において、実際に半導体チップを生産する半導体生産受託会社のことである。Fabrication Facilityを略して、ファブ(Fab)と呼ぶこともある。ファウンドリビジネスでは、世界最大手の台湾TSMCや同じく台湾に拠点を置くUMCのようにファウンドリビジネスを専業とする企業(Pure-Play Foundry)と、半導体チップの設計開発から製造までを行うファウンドリ(IDM Foundry)の2つに分類される。後者はインテルやサムスンが代表例だ。
1980年代から1990年代にかけて半導体業界における大きな変化を引き起こした要因は2つある。1つは産業政策の旗振り役として国が積極的に関わったこと、2つ目はビジネスモデルの変化だ。半導体業界の構造が垂直統合型から水平分業型へと大きく転換した。この2つ目の要因がTSMCというファウンドリの雄を生み出すきっかけだった。
半導体業界を日本が席巻していた1980年代までは、半導体の設計開発、ウエーハ製造、組み立てからテスト、そして販売に至るまで、全ての事業を社内で完結させる垂直統合型でのビジネス展開が主流であった。ところが1990年代から2000年にかけて巨額の設備投資がかかる半導体業界において水平分業が拡大する。
TSMCの最大の功績はこのファウンドリと呼ばれるビジネスモデルを確固たるものにしたことである。これを推進したのが、1987年に国策半導体メーカーとしてTSMCを立ち上げて以来、2018年に引退するまでの31年間トップに君臨してきたモリス・チャン氏である。
いち早くファウンドリビジネスを展開したTSMCには長年にわたる生産技術の蓄積がある。半導体製造は多くの工程を必要とするだけではなく、細心の注意が求められる。設計が正しくても、実際の製造の場面においては、設計通りに製造できるとは限らない。
同じレシピでも素人が作るものと巨匠と言われる料理人が作るものとでは出来栄えに大きな違いが出る。半導体製造にもコツが必要だ。このコツの積み上げがTSMCの持つ製造技術であり、他社との違いを際立たせている要因だ。デジタル社会の全ての道はTSMCに通じると言っても過言ではないだろう。
https://media.monex.co.jp/articles/-/17980
なぜ半導体ファウンドリTSMCは世界最強なのか!?
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