美しい地にあるパガミの村には、一本の柱にこう大書してある。
「パガミを通る両班の従者は、礼儀正しく品行方正であれば問題ないが、
素行が悪ければなぐられる。」
なんと痛快な主張であることか!
というのも、朝鮮の災いのもとのひとつにこの両班つまり貴族という特権階級の存在があるからである。
両班はみずからの生活のために働いてはならないものの、身内に生活を支えてもらうのは恥とはならず、
妻がこっそりよその縫い物や洗濯をして生活を支えている場合も少なくない。
両班は自分ではなにも持たない。自分のキセルすらである。
両班の学生は書斎から学校に行くのに自分の本すら持たない。
慣例上、この階級に属する者は旅行をするとき、
おおぜいのお供をかき集められるだけかき集めて引き連れていくことになっている。
本人は従僕に引かせた馬に乗るのであるが、伝統上、両班に求められるのは究極の無能さ加減である。
従者たちは近くの住民を脅して飼っている鶏や卵を奪い、金を払わない。
パガミのはり札の意味もこれで説明がつくわけである。
非特権階級であり、年貢という重い負担をかけられているおびただしい数の民衆が、
代価を払いもせずにその労働力を利用するばかりか、
借金という名目のもとに無慈悲な取り立てを行う両班から過酷な圧迫を受けているのは疑いない。
商人なり農民なりがある程度の穴あき銭を貯めたという評判がたてば、両班か官吏が借金を求めにくる。
朝鮮紀行 イザベラバード
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