https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/072300116/?n_cid=nbpnb_fbed
愛国教育が敵対心に繋がる可能性。
以下抜粋。
6~9歳の白人の子供を集め、青いシャツを着るグループと黄色いシャツを着るグループに無作為に分けます。そして、それぞれのメンバーがそれぞれのグループに属していることを毎日、意識させるように仕向けました。例えば、「青シャツグループのロバート君」と呼びかけるとか。青シャツグループと黄シャツグループに同じテストを受けさせ、グループごとの平均点を知らせるとか。
こうしたことを1カ月にわたって続けた後、面白い反応が確認されたのです。「競争すると、どちらが勝つか」と聞くと、67%の子どもが「自分の集団が勝つ」と答えたのです。また、グループ替えをするなら、今度はどちらのグループに入りたいかと問うと、8割以上の子供が「今のグループがよい」と応じました。こうした身びいきが生じることを「内集団バイアス」と呼びます。
10~11歳の白人男子で構成する2つの集団を近くの場所でキャンプをさせました。最初の1週間はそれぞれの存在を知らせずに過ごさせる。次の週に、偶然を装って、両集団を引き合わせました。その後、綱引きなどのゲームをして競わせ、お互いの対抗心を煽るように仕向けたのです。
その後、両集団の親睦を図るため、食事を一緒に作って食べたり、花火をしたり、イベントを催したのですが、結果は親睦どころではありませんでした。相手の集団が使うキッチンにゴミを捨てたり、殴り合いのけんかを始めたり、相手の集団の旗を燃やしたり、まるで戦争が勃発したかのような行動が見られたのです。
「ナショナリズム」というと、為政者が国内での求心力を高めるために、外敵への敵対心を煽り、その結果として現れた志向や行動、と思われる方が多いかもしれません。しかし、ご指摘の通り、帰属意識を高める措置が、他の集団に対する敵対心を煽ることにつながる面もあります。
内集団バイアスがもたらすデメリットは、自分が属すのでない集団に対する敵対心を生むことだけではありません。自分が属す集団内において「排除」の論理が働くようにもなります。
脳とナショナリズムと戦争の意外な関係
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