「上級国民」
そんなネットスラングがしきりに飛び交った。
東京・池袋で母子が乗用車にはねられ死亡した事故で、運転者が逮捕されず任意捜査が進んだことをめぐってだ。
運転者は元官僚。旧通産省工業技術院元院長という経歴だから逮捕されないのでは、という臆測が語られた。
メディアが通常のように「容疑者」と報道せず、肩書や「さん」づけで伝えたことが「炎上」要因となったようだ。
こうしたバッシングについて、格差社会を専門に研究している橋本健二・早稲田大学教授はこう指摘する。
「社会活動家の声など一時期よりは建設的な意見が増えてきたが、ほとんどは意味がない。政策の変更を求めることもなく、社会的な公平性を実現するのに役に立っていない」
同じようなバッシングが拡大している背景への分析はこうだ。
「ネットの普及で世の中の人たちが、社会全体から見た自分の立ち位置をより把握し、人と比較した不公平感がたまり始めた」
また池袋の事故を起こした男性が87歳だったことから、75歳以上の人の運転免許証自主返納率が4.7%であることも一部で問題視されている。
そうした視点の危うさを批判するのは、交通心理学を専門とする芳賀繁・立教大学名誉教授だ。
「ミスをした人をたたく、罰則を強化する、高齢者全員免許取り上げる、というのは間違い。誰でもミスは犯す。それを前提として事故にならないシステム設計、仮に事故が起きても被害が最小に済むシステム設計と、段階ごとに考える必要がある」
「上級国民だから逮捕されない」
といったようなことをネットでつぶやいても始まらない。まずは事故原因の捜査結果を知りたい。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190511-00000013-sasahi-soci
《闇》今、ネットで飛び交う『上級国民』 加害者なのに容疑者でなく「元院長」「さん」
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