不法滞在者の強制送還を進める出入国在留管理庁の計画「不法滞在者ゼロプラン」が本格実施された6~8月の3カ月間で、護送官つき強制送還により119人が帰国し、昨年同期の58人から倍増したことが10日、入管庁のまとめでわかった。同庁は「ルールを守らない外国人により国民の安全・安心が脅かされている」として、帰国を拒む不法滞在者の送還を強化しており、政策効果が現れ始めた形だ。
鈴木法相「成果上がっている」
ゼロ計画は5月23日に公表され、不法滞在者約7万人のうち、強制送還が確定しながら帰国を拒否する「送還忌避者」約3千人を5年半で半減させるとの目標を掲げる。
入管庁によると、6~8月の護送官を伴う国費送還119人のうち、36人は計画で重点化されている難民認定申請3回目以降の人と重大犯罪者だった。119人のうち国籍別で最多はトルコの34人で約3割を占めたほか、スリランカ17人、フィリピン14人、中国10人、ベトナム6人の順だった。
入管庁は「これらの国籍の人に、強制送還が確定した人が多いため」と説明している。
また、今年1~8月の8カ月間でみると、護送官つき送還は203人で、このうち38人は難民申請3回目以降の人。内訳は3回目27人、4回目4人、5回目7人だった。203人のうち4人は、無期または3年以上の実刑判決を受けた重大犯罪者で、国籍はナイジェリア2人、スリランカ1人、フィリピン1人だった。
子供の送還「条約違反せず」
一方、護送官つき送還の203人のうち、18歳未満の未成年者は7人だった。親が強制送還され、子供も一緒に帰国させられるケースなどだが、「日本で生まれ育ち日本語しか話さない子供にとって、帰国先は異国であり、非人道的だ」との批判も出ている。
入管庁は「強制送還が確定した人は、難民に該当しなかったり、在留特別許可を出す事情を認められなかったりした場合などだ。未成年者の場合は、個別の事案ごとに家族関係や日本の地域社会との関係性など人道上の配慮の必要性を総合的に考慮して判断している」と説明。
不法滞在外国人の強制送還、護送官つきが3カ月で前年倍増の119人 最多はトルコ34人
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