(ブルームバーグ): トランプ米大統領が世界各国・地域に発動した関税について、米連邦高裁はそのほとんどが大統領の権限を越えた違法行為だと判断し、審理を行うよう下級裁判所に差し戻した。そのプロセスが進行中は関税の効力は維持可能だという。
連邦高裁は29日、米国際貿易裁判所が5月に下した「違法で無効」との判断を支持した。ただ、それが関税の影響を受けるあらゆる当事者に適用されるのか、それとも訴訟の当事者に限られるのかを下級裁判所で審理し直すよう命じた。
連邦高裁における賛成7、反対4での今回の判断により、トランプ氏の関税措置が最終的に維持されるかどうかをめぐる不透明さが一層長引く可能性がある。米政権は、これまでトランプ氏の主張をおおむね支持してきた最高裁判所に上訴し、最終判断を求めることができる一方で、国際貿易裁判所での差し戻し審理を優先させることも選択可能だ。
高裁判断を受け、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「全ての関税はまだ有効だ!」と投稿した。さらに「本日、極めて党派的な高裁がわれわれの関税は撤廃されるべきだと誤って判断したが、彼らは米国が最終的に勝利することを分かっている。これらの関税が撤廃されれば、国にとって完全な大惨事になる」と主張した。
今回の訴訟には数兆ドル規模の世界貿易が影響を受けており、最終的にトランプ氏の関税措置が違法とされれば、同氏が誇示してきた貿易協定は根底から覆されることになる。また政権はすでに徴収した関税の返還請求にも直面することになる。
国際貿易裁判所は5月、トランプ氏が貿易相手国・地域に対する関税に1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)を不当に適用し、従って輸入関税は違法だと結論付けていた。
ホワイトハウスのデサイ報道官は声明で「トランプ大統領は、外国の脅威から国家と経済の安全保障を守るため、議会から付与された関税権限を合法的に行使した。大統領の関税は引き続き有効であり、この件における最終的な勝利を期待している」と述べた。
今回の判断は、トランプ氏が「解放の日」に発表した世界的な一律10%の基本関税や、合成麻薬フェンタニルの取引を理由にカナダとメキシコ、中国に課された追加関税が対象となる。また8月7日に発動された上乗せ課税も含まれる。
トランプ大統領のグローバル関税は大半が違法、差し戻し審理へ-米高裁
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