韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が8月下旬に予定している日本・米国との首脳会談は、今後5年間にわたる外交戦略の方向性を定める分水嶺になると見られている。イ・ジェミョン大統領が掲げる「国益中心の実用外交」の真価が問われる場面だ。
日韓首脳会談では、歴史問題よりも未来志向の協力が主要議題となる見通しだ。イ・ジェミョン大統領は光復節(8月15日)の演説で、歴史認識に触れつつも「未来に向けた共生協力」を強調し、「過去を直視しつつ、未来へ進む知恵が必要」と語った。歴史・政治問題と経済・文化協力を分離する「ツートラック戦略」を貫く姿勢だ。
具体的には、日米韓の安全保障協力が主要議題となる見込みで、アメリカとの関税協議の進展や、日本主導の包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への韓国参加も議論される可能性がある。
一方、福島第1原発の処理水放出や日本産水産物の輸入規制といった敏感な問題にも言及されるとみられる。大統領室のカン・ユジョン報道官は「国民の健康と利益は政府の最優先事項」と述べ、調整中であることを明らかにした。
続く米韓首脳会談では、安全保障と通商が主軸になる。トランプ大統領は、在韓米軍の戦略的柔軟性拡大や、韓国側の防衛費負担増を求める可能性が高い。これは米中戦略競争の中で、韓国に求められる役割にも大きく関わってくる。
イ・ジェミョン大統領は、米韓同盟の強化と同時に中国との安定的関係維持という二重の課題を抱えている。アメリカはインド太平洋戦略の一環として、韓国の明確な対中姿勢を期待しているが、韓国は経済面で中国との関係も無視できない。
このような背景から、政府は日韓首脳会談を米韓交渉の「レバレッジ」と位置づけており、日本との関係を強化することで、アメリカに対して韓国の外交的価値を印象づける狙いがある。
また、日本・米国との首脳会談のタイミングに合わせて、パク・ビョンソク(朴炳錫)元国会議長ら「親中派」の特使団を中国に派遣する方針。これは、中国との関係も並行して維持しながら、「均衡外交」を図る意志を示すものだ。
news1/
李在明政権の「実用外交」正念場へ…日本・米国との首脳会談が今後5年の外交路線を左右
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