かつて台湾で水利事業に尽力した八田與一(よいち)技師(金沢出身)の功績が、現地産のコメにも刻まれた。今月、日本で流通が始まった台湾米は、日本統治時代に不毛の大地を潤した技師との縁から「縁路(えんろ)はるばる」と命名された。技師が台南に築いた水路網・嘉南大圳(かなんたいしゅう)育ちの銘柄で、コメ不足に悩む日本へ「恩返し」の意味を込めて海を渡ってきた。
「現地(台湾)で『われわれが米を作れるのは八田先生のおかげ』という話を聞いた。技師と日本の農業に対する強いリスペクトを感じた」
台湾米の輸入元となった米穀小売・卸の「くりや」(香川県さぬき市)の德永真悟代表は「縁路はるばる」が命名された背景をこう語った。
輸入された台湾米は、台南市後壁区(こうへきく)産。八田技師が完成させた烏山頭(うさんとう)ダムを起点に広がる嘉南大圳の穀倉地帯に位置する。
德永代表は、日本国内でのコメ不足深刻化を受けて今年1月ごろから台湾米の輸入を模索。6年前から日本産米を台湾へ輸出してきた実績もあり、台南市の精米会社から500トンを仕入れることになった。
精米会社とやり取りする中で、八田技師への感謝を強く感じたという德永代表。「台湾の人たちは『われわれには八田先生をはじめ、日本の農業文化が入っている』と考えている。その恩返しがしたいという気持ちを受け取った」という。
德永代表によると、「縁路はるばる」は台湾で栽培される「台南11号」「台農84号」をブレンドした短粒種のうるち米で、味の面では日本のコメとあまり変わらない。農薬や化学物質の残留など262の検査項目をクリアし、今月5日、台南市で黄偉哲市長が出席して初めてとなる対日輸出セレモニーが行われた。日台友好❤️
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台湾米は八田技師ゆかり 「縁路はるばる」と命名 日本で6月流通開始 水利事業の恩返し
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