紆余曲折の末、3日に李在明(イ・ジェミョン)政権が発足した。米中技術覇権戦争の間で成長の限界にぶつかった大韓民国はもう一度飛躍できるのだろうか。
隣国の日本のメディアが初めて指摘したという「ピークコリア(Peak Korea)」懸念が一時的な杞憂で終わるのだろうか。
このようにして大韓民国は1人あたりの国内総生産(GDP)3万ドル時代に駆け上がった。大統領候補の公約はもう国政課題に進化している。
新政権の科学技術政策の傍点は人工知能(AI)に打たれた。AI技術の発展が「特異点」に向かっている中、国家生存のためにも当然の選択だ。李在明大統領は大統領選挙期間中、「世界を先導する経済強国をつくる」というスローガンの下、「AI3大強国」を1号公約に掲げた。
李在明政権のAI政策自体に対する懸念の声も聞こえる。AIに対する全幅的な投資には同意するが、米国や中国と比べて人材と予算が大きく不足する韓国でOpenAIのように大規模言語モデル(LLM)をつくる方式でAI強国に追いつくのは非現実的という批判だ。
代わりに政府は産業・製造のための応用AI育成に注力するのがよいという話だ。一方では中国ディープシークの事例にみられるようにオープンソースの公開とGPU価格の急激な下落でLLM開発が容易になっただけに、我々のデータを中心にした「ソブリンAI」を構築し、これにもとに多様な応用AIを開発するべきという意見も少なくない。
AI3大強国とともに考慮するべき点はエネルギーだ。AIモデル開発とデータセンターなどサービス運営には莫大な電気エネルギーが必要となる。OpenAIでも原発5基規模に該当する5GW級のAI専用データセンター構想が必要だと米国政府に建議したことがある。
李在明政府は全南(チョンナム)海岸地域に風力と太陽光発電団地を大規模に設置し、ここにデータセンターを設置するという計画を提示した。気候危機の中、風力・太陽光のような再生可能エネルギーを拡大すれば、電気料金が現在よりさらに高くなるしかないのが問題だ。
再生可能エネルギーを安定的に供給するにはエネルギー貯蔵システム(ESS)と系統連結、非常時のためのLNG発電など二重・三重の施設が必要となる。脱原発の末に「欧州の病人」に転落したドイツが反面教師だ。
李在明政権の「AI3大強国」目標、電力対策がなければ夢にすぎない
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