アメリカ人の4人に1人がほぼ失業しているに等しい状態にあるという驚きの調査結果が出ている。政府発表の失業率は50年ぶりの低水準を維持しているが、実態を反映しておらず、生活苦にある人々を見過ごす政策につながると指摘されている。
◆米経済は健全 公式統計と実態に乖離?
現在、アメリカの失業率は50年ぶりの低水準にあり、4月の失業率は4.2%。これは、アメリカ経済が比較的健全であり、関税や消費者心理の落ち込みといった逆風にもかかわらず、継続して雇用が維持されていることを示している。
一方、ルドウィッグ共有経済繁栄研究所(LISEP)の最新の報告書によれば、失業者に、フルタイムで働きたいが見つからない人や、生活が困難な水準の低賃金で働く人を加えた「実質失業者」の割合は、4月に24.3%に達した。つまり、アメリカ人の4人に1人が安定した仕事がなく、生活できる賃金を得ていないと言える。
◆「公式データに欠陥。真の失業率は深刻」
LISEPのユージーン・ルドウィッグ所長は、「実質失業者」の割合こそ真の失業率だと述べ、公式の失業率データには欠陥があると指摘。「たとえば、過去2週間の間に1時間でも働いていれば就業者とカウントされる。つまり、ホームレスでテント村に住んでいても、1時間働いただけで就業者とされる」と述べる。(米CBS)
ルドウィッグ氏は米政治専門サイト『ポリティコ』への寄稿の中で、公式データは、失業率は低く、中間層の賃金は伸びており、経済成長がすべての層に恩恵をもたらしていると示唆してきたと述べる。しかし、国内の各所を旅行し、衰退した都市を見るにつれ、この経済指標に疑問を持ち始めたという。
同氏によると、何十年もの間、連邦政府は同じ方法論や同じ情報源に頼って経済統計を出しており、そのデータが現実に即しているかを問う人はほとんどいなかった。これがLISEPを立ち上げた理由であり、はるかにバラ色の現実が描かれた公式統計よりも、一般人の認識のほうが現実を反映していることが分かったと述べている。(同)
米国人の4人に1人が「実質的に失業」 公式統計と現実に乖離
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