大音量で流れるK-POPミュージック、ライトスティック、フードトラック、そしてお決まりの自撮り──。韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が12月3日に戒厳令を宣言して以降、国中で増えているデモが、意外なほどお祭りムードになっている。
10日夜、首都ソウルにある国会議事堂の外では、通り沿いにフードトラックが立ち並び、トッポギ(辛い餅炒め)やスンデ(血のソーセージ)、冬の楽しみであるポンテギ(茹で蚕)など昔ながらの軽食を売っている。
おもに若い女性のデモ参加者たちが振っているのが、ライトスティックだ。これは高価なLED機器であり、もっぱらK-POPのコンサートで推しのアイドルを応援するときに使われる。それぞれ異なるファン界に属していることを示すライトスティックを握りしめて、自撮りする人たちも多い。
街宣車がK-POPのヒット曲を爆音で流すなか、クォン・ジス(20)はこう語る。
「政治的なデモだからって深刻でなくてもいいということを示しているのです。この国はいまカオス状態です。ライトスティックはコンサートで使うものだけど、ここで使ったっていいじゃないですか。私はK-POPを応援していますが、民主主義も応援します」
背後では、クリスマスキャロルが群衆のあいだに響き渡っている。だがよく聴くと、韓国語で歌われている「赤鼻のトナカイ」やホセ・フェリシアーノの「フェリス・ナヴィダ」は、大統領弾劾を求める歌詞に書き換えられていることがわかる。
大学生のパク・ダソム(22)は言う。
「今夜は友達と一緒です。ここにはポジティブな雰囲気がありますね」
群衆が輪唱しているのは、尹錫悦大統領の弾劾と与党「国民の力」の解散を要求するスローガンだ。一部のデモ参加者はおもむろに即興のダンスセッションを始めている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5577a21040f63a46e5032e7c221e5207080bb857
アイドルも民主主義も“推し活” 「K-POP」ライトスティックを振り大統領の弾劾を求める韓国の若者
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