防衛省が米国製巡航ミサイル「トマホーク」の発射機能を海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」から付加する方針を固めたことが1日までに、同省への取材で分かった。
改修費として、2025年度予算概算要求に18億円を計上した。国家安全保障戦略で保有を決めた反撃能力(敵基地攻撃能力)を備える最初のイージス艦となる。同省は「定期整備のタイミングなどを考慮した結果、ちょうかいから改修する」としている。
「ちょうかい」は佐世保基地(長崎県)配備で、25年度末に改修を終える。同省はトマホークを当初の予定より1年前倒しして、同年度中に取得する。改修後に米国で実射試験を行う可能性もある。
防衛省は横須賀(神奈川県)、舞鶴(京都府)、佐世保各基地配備のイージス艦計8隻すべてを順次、改修する。トマホークは射程約1600キロで、日本周辺海域から発射すれば北朝鮮や中国が射程に入る。
政府は米国のような同盟国を守るために集団的自衛権を発動する場合も、反撃能力を行使できるとしている。有事には米海軍横須賀基地配備のトマホークを搭載する米イージス艦と連携する可能性もある。
政府関係者は「実戦能力を高めるには、攻撃目標への精密誘導に必要な衛星情報などを共有できる体制構築が欠かせない」と話す。トマホークは衛星通信を介して発射後も目標や進路を変更することが可能。
概算要求では、30年代には退役が始まる見通しの「こんごう」型イージス艦4隻の後継艦を検討する調査研究費33億円も計上。米海軍が装備化を進める米国製レーダー「SPY6」や最新の武器通信システムの運用状況を確認するとみられる。
イージス艦「ちょうかい」改修へ トマホーク、発射機能付加 安保戦略、反撃可能に・防衛省
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