金融業界から出てくるサムスン電子危機論は、この10年を「失われた時間」と規定する。倒れた先代会長に続きイ・ジェヨン会長がグループ経営のキーを握った時期と重なる。匿名を希望した前政権の政策担当者は、かつて成功を成し遂げたサムスンの事業構造が作動していないようだと診断する。「サムスンの人々は『黄金のトライアングル』、すなわち会長のリーダーシップ、戦略室の企画力、そしてエンジニア出身の最高経営者の執行力が『超格差』を作る動力だと誇っていた。ところが、そのうちの2つ、すなわち会長のリーダーシップと戦略企画の機能が弱体化した。特に、国政壟断事件にまきこまれて未来戦略室を解体した後、合法的で正常にコントロールタワーが作動して作り出すべきシナジーまで消えたようだ」ということだ。
未来の収益源になる技術や特許を十分に持っていながらも事業転換に失敗したゼロックスやコダックがそうだった。インテルもコンピューター中央処理装置(CPU)の甘い収益性に安住し、モバイル時代に存在感を失った。かつてのサムスン電子は違った。技術の可能性に果敢に投資し、成長エンジンを発掘した。自社のビジョンに固執し、フラッシュメモリー、LCD(液晶ディスプレイ)、スマートフォンで市場をつくり先取りした。今、サムスン電子に必要なのは未知のものに直面する勇気と、スティーブ・ジョブズが革新の動力だと指摘した「ハングリーさ」だろう。
サムスン電子にとって良いことが自分にも良いことなのかと問う人もいるだろう。しかし、韓国の国内総生産(GDP)の10%以上を担うサムスン電子の失敗は、韓国経済にとって災いであることは明らかだ。外国メディアはすでに製造業韓国の黄昏について報じている。半導体が一級の戦略物資として扱われ、多くの国々が補助金をつぎ込んでいる国家対抗戦の時代、先端半導体企業を持つのと持たないのとは大きな違いだ。そのような激動期に、サムスン電子に残された反転の時間は5年以内かも知れない。イ・ジェヨン会長とサムスン電子のハングリーさと切実さを期待する。
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1139163.html
[コラム] サムスン電子に残された反転の時間は5年以内
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