防衛装備庁は12月5日、電磁気力で物体を撃ち出す装置「レールガン」の最新資料を公開した。2023年中に行った連続射撃に関する試験の結果を記載したPDFの他、11月に同庁が開催したイベント「技術シンポジウム2023」のアーカイブ動画も公開。レールガンの技術解説や、検証がどんな段階にあるか解説している。
レールガン研究ではこれまで「単射でいかに高初速の弾丸を安定して撃つか」「砲身の寿命をいかに確保するか」などを検証してきた。しかし22年度からは連射機構や、撃った弾丸の安定性などに着手するフェーズに突入しているという。
連続射撃の際、問題になるのが「弾丸との摩耗などによる砲身レールの損傷」「砲身レールの損傷による初速の低下」の2点だ。過去の研究では、弾丸の初期位置周辺の損傷が特に激しく、撃ち続けるたびに初速が低下する課題があった。
そこで23年の実験では、レールガンの連続射撃をかなえるため「高初速の弾丸を安定して繰り返し撃つこと」が可能か検証した。新たな放電方式や砲身レールに新材料を採用。結果、弾丸の初期位置にも顕著な損傷は発生せず、120発の連続射撃でも、その全てで初速2000m/s以上を達成することに成功したという。同庁は「新たな対策を施したレールガンで、高初速の弾丸を安定して繰り返し撃つ目標を実現した」と説明している。
同庁はレールガンの用途として、2つのシナリオを描いている。一つは、従来火砲よりも長射程・高威力であることを生かした「極超音速誘導弾への対処」。もう一つは「艦艇(または地上)目標に対する回避困難な打撃」だ。これらの兵器による攻撃は射程が長く、さらに迎撃困難な場合が多いが、レールガンがあれば攻撃に対する抑止効果を期待できるという。
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レールガンの最新資料、装備庁が公開 次の目標は“連続射撃”
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