https://gigazine.net/news/20230817-lk-99-not-superconductor/
韓国の研究チームが発表した「室温かつ常圧で超伝導状態になる物質・LK-99」については、複数の研究機関が再現実験を実施しまし、LK-99は超伝導体ではないことが明らかになったことを科学誌のNatureが解説しています。
常温常圧の超伝導体としてLK-99を発表したQuantum Energyの研究チームは、LK-99が持つ2つの特性「磁石の上で浮くこと」と「電気抵抗率の急激な低下」を根拠に、これが超伝導体であると主張しました。
しかし、北京大学や中国科学院を含む複数の研究機関が、この2つの現象について前述の通り「硫化銅により引き起こされる現象」と説明しています。また、アメリカとヨーロッパの研究者による別の研究では、実験的証拠と理論的証拠を組み合わせて、LK-99が超伝導体として実現不可能なものであることが実証されています。さらに、別の研究グループはLK-99のサンプルを合成し、この物質が超伝導体ではなく絶縁体であることを証明しました。
LK-99を合成する反応では、純粋なLK-99である銅をドープしたリン酸鉛結晶だけでなく、銅と硫黄も多数生成されます。純粋なLK-99以外は不純物であり、これが超伝導体の2つの特性を再現する硫化銅になる模様。
Quantum Energy の研究者グループは、LK-99の電気抵抗率が「0.02オーム・センチメートル」から「0.002オーム・センチメートル」へと急激に低下する温度があると主張していました。これについて、硫化銅の専門家であるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の化学者プラシャント・ジェイン氏は、「これはCu2S(硫化第一銅)が相転移する温度です」と指摘しています。この温度以下になると、空気に触れたCu2Sの電気抵抗率は急激に低下するのですが、研究者グループはこの事実を見逃していたわけです。
また、LK-99から不純物を取り除くという研究も行われていますが、不純物が取り除かれたLK-99は超伝導体ではなく数百万オームの抵抗値を持つ絶縁体であることが明らかになっています。不純物を取り除いた純粋なLK-99はわずかな強磁性と反磁性を示すものの、部分的な浮遊を再現するには不十分だそうです。
やっぱり速報 LK-99が常温超伝導体ではないことはどのように明らかになったのか?
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