2008年9月、米金融グループ「リーマンブラザーズ」の破綻でグローバル金融市場で信用収縮が深刻になり、韓国銀行(韓銀)の海外借入が突然ふさがった。当時、1ドル=1570ウォンまでウォン安ドル高が進み、同年9月から年末まで462億ドルの外貨が流出した。外貨貸出を償還したり輸入代金を支払う企業はドルを確保できず危機を迎えた。
こうした状況で意外なところから突破口が開かれた。米国が2008年10月30日に韓国と300億ドル規模の通貨スワップ協定を締結したのだ。これを受け、12月2日に韓銀に競争入札方式のスワップを通じて外貨が供給された。
すぐに外貨借入も再開され、為替レートもすぐに落ち着いた。韓国がグローバル金融危機の衝撃から抜け出す瞬間だった。結果的に韓米通貨スワップは韓国金融市場の安定に大きな役割をし、2回の延長を経て2010年10月に終了した。そして新型コロナ拡大でグローバル景気沈滞が始まると、2019年10月に再開され、また2度の延長の末、昨年末に終了した。
最近、米連邦準備制度理事会(FRB)は40年ぶりの物価高を抑えるために量的緩和を終了し、量的緊縮をしながらビッグステップやジャイアントステップなどで金利を次々と引き上げている。これを受けてドル高が進み、他の主要国通貨の価値は大幅に落ちた。韓国ウォンも年初は1ドル=1100ウォン台だったが、最近は1ドル=1400ウォン水準になっている。
こうした中、2008年のグローバル金融危機当時を思い出しながら、韓米通貨スワップをなぜ終了させたのかと当局を恨む声も聞こえる。今からでも韓米通貨スワップ協議を始めるべき、韓米首脳会談の議題にすべきという主張も出てきた。
こうした状況で韓国がいま通貨スワップの必要性に言及すれば、外国ではむしろ韓国金融市場を不安視する可能性がある。最近、韓銀の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁はFRBと緊密に情報交換をしていて、FRBが必要だと判断すれば適切なタイミングに決めるとし、通貨スワップ議論に一線を画した。
今は外貨保有高も十分であり、資本流出の兆候も表れていない。海外投資資産も多い状況で我々が通貨スワップの話をする必要はないということだ。今は市場の安定のために自信が必要な時だ。
https://japanese.joins.com/JArticle/297734
【時論】韓米通貨スワップ、誤解と真実
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