「これまで会社で働いてきて、『危機』という言葉をかなり耳にしてきましたが、これまでのどんな時よりも今が一番危ないと思われます」
サムスン電子入社5年目の半導体エンジニアが先日、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長と慶桂顕(キョン・ゲヒョン)代表取締役に送ったというメールの内容の一部だ。この社員は「不利益を被る可能性があっても、絶対に必要だという思いがあるから、この文を公開する」として、過度な納期設定や低い業務達成度、研究所内の劣等感などを事細かくつづった。上下関係が厳しい韓国の組織社会では異例のことだ。
これだけではない。「これまで内部引き締めのために叫んできた危機ではなく、本当の危機がやってくるような不安感」「いつ1位の座を奪われてもおかしくない会社」…。企業評価サイトやインターネット上のブログなどには、サムスン電子社員たちが書き込んだこうした文が今年だけで1000件以上も掲載されている。いつもの賃金・福利厚生問題や上司に対する不満もあるが、会社の現状を真摯(しんし)に憂える書き込みも少なくない。製品が発熱するのを抑えるため強制的にスマートフォンの性能を抑制したGOS(ゲーム最適化サービス)問題、新事業であるファウンドリ(半導体委託生産)の競争力など、サムスンが現在抱えている問題の背景を推測させる内容だ。
「国民株」となったサムスン電子が現在、半導体・スマートフォンなど主要事業で競争力の危機を迎え、株価も「6万電子(サムスン電子の株価がこれまでより大幅に下がり、6万ウォン=約6200円台になったこと)」の沼であえいでいることは誰もが知っている。それなのに、サムスン内部で誰かが警鐘を鳴らしているという話は聞こえてこない。故・李健煕(イ・ゴンヒ)会長は絶えず危機意識を植え付け、サムスンを世界最高の企業に導いた。同会長亡き後、今や社員たちが自ら「サムスンの危機」を口にする状況になった。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/04/29/2022042980040.html
「サムスンは危機」 社員たちの警告
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