9月8日、ソウル中央地裁は、旧朝鮮半島出身労働者の遺族が日本製鉄を相手取って起こした訴訟で、原告の訴えを棄却した。
韓国では元労働者が日本企業を訴える「徴用工裁判」が相次ぐが、大邱と水原の地裁が、大法院判決に基づく日本企業の資産の差し押さえと現金化に苦心するなか、ソウル地裁が元労働者の訴えを退けている。
ソウル中央地裁は消滅時効を理由に原告の訴えを棄却
2021年9月8日、元労働者の遺族4人が、元労働者が戦時中、岩手県釜石製鉄所に強制動員されたとして日本製鉄に対し損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は消滅時効を事由に原告の訴えを棄却した。同地裁は8月11日にも元労働者の遺族が三菱マテリアルを相手取った訴訟で、消滅時効を事由に原告の訴えを棄却している。
その後、2018年10月30日、大法院は新日鉄住金(現・日本製鉄)に対し、原告4人に1人あたり1億ウォンの損害賠償の支払いを命じる判決を下した。以降、韓国の法曹界は、消滅時効の基点は12年5月か18年10月かで見解が分かれるが、ソウル中央地裁は12年5月と判示した。
ソウル中央地裁は6月7日にも元労働者と遺族85人が日本企業16社を相手取った訴訟で却下決定を下しており、3回続けて元労働者らの訴えを退けたことになる。
韓国人の約60%が、差し押さえと現金化に否定的
シンクタンクの東アジア研究院などが20年9月に行った調査で、韓国人の約60%が、差し押さえと現金化に否定的だった。
国交正常化以降、最悪といわれる日韓関係は18年10月と11月の「大法院判決」に端を発する。19年7月、日本政府がキャッチオール規制に基づいて、韓国向け輸出管理を強化すると、韓国政府は日本政府が「大法院判決」に対する報復を行ったと主張して、日本製品不買運動が拡散し、日韓関係が急激に冷え込んだ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/09/post-97096.php
韓国世論も日韓関係の悪化しか生まない「徴用工裁判」に嫌気
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