米国でも始まった「嫌韓」

鈴置氏の「面従腹背の文在寅　ソウルに戻ると即、金正恩に“詫び状”　米国でも始まった「嫌韓」」から抜粋。

《鈴置：5月26日、文在寅大統領は「コロナのために、多くの兵力が（物理的に接触する）実戦形式での訓練は難しくないか」と述べました。「実戦形式の演習はしない」との意思表明です。
　文在寅政権には、つむじを曲げる北朝鮮に「詫び状」を送る必要があったのです。

――米韓合同演習を拒否するのは北への「詫び状」……。

鈴置：2022年5月の任期満了までに北朝鮮の非核化を巡り、何らかの結果を出さねばならない、とこの政権は思い詰めています。よほどの功績を残さない限り、韓国の歴代大統領は次の政権に刑務所送りにされるからです。

――一度騙された北朝鮮が再び対話に応じるでしょうか？

鈴置：文正仁理事長も難しいと分かっています。そのため「もっと大きなプレゼントも考えているぞ」と、北の気を引いたのです。
　中国との対立を深める米国が韓国を敵と見なすのは当然です。それでいて困ると「ワクチンをくれ」と纏わりついてくる。道義的にも韓国はまともな国と見なされなくなっているのです。
　「文在寅を相手にせず、左派を自滅させよう」との意見も堂々と語られ始めました。アジア専門家のG・チャン氏が『The Hill』に寄稿した「Bad Moon falling: South Korean leader falters in summit with Biden」（5月24日）です。見出しの「月」とは「文」の英語表記が「Moon」であることから、「文在寅」と楽曲「Bad Moon Rising」にかけたのでしょう。

――米国も「嫌韓」なのですね。

鈴置：40年間以上、朝鮮半島を見つめてきましたが、こんなことは初めてです。米国の「嫌韓」は今のところ、専門家の間に留まっていますが。

――専門家はともかく、バイデン政権は「分かっている」のでしょうか。

鈴置：この政権には韓国を熟知した人が多い。大統領も、中国に対する抜きがたい恐怖感といった韓国人のメンタリティまで理解しています。米韓首脳会談で文在寅大統領に出した食事を見ても、この政権の韓国への理解度と姿勢がよく分かります。》
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