主権国家間の歴史問題の訴訟は、関係国にも波紋を起こす。2004年、イタリア最高裁は、第二次世界大戦当時、強制労働させられた自国民が提起したドイツ政府を相手取った損害賠償請求訴訟で勝訴判決を言い渡した。以後、我々は同じ戦争で生じた慰安婦問題を思い出しながら「国家(主権)免除論」の国際法の流れを綿密に注視した。
それから16年が経ち、韓国の裁判所も慰安婦被害者が日本政府を相手に提起したような訴訟でおばあさんの手を初めて上げた。主権免除論を認めている国際司法裁判所(ICJ)の判断が依然として支配的に機能するが、被害者の人権のために韓国の裁判所の断固とした態度は、法的議論とは関係なく拍手を受けて当然の決定である。
イタリアから始まり、韓国を経た歴史訴訟の波は、今やベトナムにまで届く。残念ながら今回は韓国が加害勢力として疑われている状況だ。1968年にベトナムのポンニ村で起きた韓国軍の民間人虐殺疑惑事件と関連し、昨年4月にベトナム人被害者が韓国の裁判所で政府を相手に損害賠償を提起したのである。
もちろん、「韓国訴訟とは関係なく、ベトナムも自国の裁判所で判断受ければいいのではないか」という言葉で責任回避は可能だ。しかし、社会主義国家であるベトナムの裁判所では、他国を相手に損害賠償が提起されたことがなく、その方法もない。ベトナム関連の訴訟は韓国の裁判所が唯一の法的通路である。
幸いなことに韓国の裁判所は、「我々は日本とは違う」というメッセージを出している。1審・2審裁判部は、「ベトナム戦争当時の韓国軍の民間人虐殺と関連した国家情報院の文書リストを公開せよ」という行政訴訟で、合計4回にわたってすべて公開趣旨の判決を下したことがある。日本のように訴訟自体を回避することなく、少なくとも事実関係の把握の道を開いているという話だ。
韓国の裁判所は今回の判決により、「政治的権力を持たない被害者が訴訟以外には損害賠償を受ける方法がない」という言葉で日本政府を厳しく非難した。
韓国日報(韓国語)
https://www.hankookilbo.com/News/Read/A2021011112570004932
カイカイ反応通信(日本語)
http://blog.livedoor.jp/kaikaihanno/archives/57590666.html
慰安婦賠償判決によってベトナム人虐殺疑惑の前に立つことになった韓国の裁判所
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