芸能人、著名人の不倫報道の中でよく聞かれるのが「許せない」という言葉
です。「家族を裏切るなんて許せない」「清純派だと思っていたのに許せない」など、対象者への怒りや憎しみの感情がたくさんの「許せない」を生み出して います。
もちろん、不倫は法律上してはいけないことですし、もし自分や自分の近しい 人が何らかの被害を受けたのであれば、憤りや怒りが湧くのは当然でしょう。
しかし、自分や自分の身近な人が直接不利益を受けたわけではなく、当事者と 関係があるわけでもないのに、強い怒りや憎しみの感情が湧き、知りもしない 相手に非常に攻撃的な言葉を浴びせ、完膚なきまでに叩きのめさずにはいられ なくなってしまうというのは「許せない」が暴走してしまっている状態です。
われわれは誰しも、このような状態にいとも簡単に陥ってしまう性質を持って います。
「正義の制裁」を加えるとドーパミンが放出
拙著『人は、なぜ他人を許せないのか?』でも詳しく解説していますが、人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。
他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質である ドーパミンが放出されます。この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せな くなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになる のです。
こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」
と呼ぼうと思います。この認知構造は、依存症とほとんど同じだからです。
この「正義中毒」は、危機的な状況になればなるほど、盛り上がりやすい素地が できます。現在は新型コロナウイルスの蔓延と同時に、世界恐慌というべき
側面になってきていますが、「正義中毒」の現象がさらに強く起きてくると
思います。
https://toyokeizai.net/articles/-/346215
【ネット民】他人を許せない正義中毒という現代人を蝕む病
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