【記者:Nicola Smith】
年金で暮らす韓国人のイ・サンジュン(Lee Sang-joon)さん(76)は、身長が150センチほどだが、それでも夜寝る時には苦労している。イさんが過去12年間、「家」と呼ぶこの場所は、食器棚を横にしたほどの広さしかない。
韓国の何百人もの老人がイさんのように、ソウルの近代的な高層ビルの影に立つ陰気な宿泊所の、ウサギの穴のように狭い廊下の左右に詰め込まれた極小の部屋で暮らしている。
年金生活者が多く暮らす、ソウルの東子洞(Dongjadong)の安宿街では、時間はゆっくりと流れている。孤独な老人たちが公園に座り、足を引きずってゆっくりと崩れかかった建物の前を歩いていく。夕食は、キャンプ用のコンロで作った質素な料理だ。
以前は家の塗装職人だったイさんは、他の多くの老人と同じように、50年以上前にソウルに上京した。3人の子どもたちには、金銭的負担をかけたくないと言う。「子どもたちは、自分の子どもたちの面倒を見るのに忙しい。彼らから支援は受けたくない」と、イさんは語る。
小さな住居には、布団、冷蔵庫、扇風機、壁に針金を渡して作った間に合わせの洋服掛けがある。家賃の200ドル(約2万2600円)は、毎月国からもらう年金の3分の1に当たる。トイレとシャワーは共同だ。「居心地は良くないが、我慢しなければ」と、イさんは言う。「ここでは誰もが私と似たような状況だ」
東子洞の物語は、高齢化が進む韓国が直面する問題を知る手がかりとなるもので、決して特別な話ではない。
韓国の高齢者は身を粉にして働き、韓国経済を世界第12位の規模まで成長させたが、晩年にその報いを受けているとは言い難い。
韓国は技術が発達していることでも知られているが、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、65歳以上の高齢者のほぼ半数が貧困状態にある。若者が年配者を敬うという儒教の伝統は薄れ、高齢者の約4分の1が一人暮らしだ。
以下略
(2012年10月11日撮影、資料写真)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181013-00010001-clc_teleg-int
「高齢社会」に突入した韓国、極小の部屋で孤独に暮らす高齢者たち
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