中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、3月に開催される全人代(国会に相当)を前に、軍事工業関連の国有企業トップら3人の代表資格を剥奪したと発表した。1月には中央軍事委員会の張又俠副主席が規律違反で調査を受けており、習近平国家主席が主導する軍内部の「腐敗掃討」という名目の大規模な粛清が、国防・軍事技術の核心部にまで及んでいる実態が浮き彫りになった。
今回、代表資格を剥奪されたのは以下の3名。いずれも中国の軍事現代化において象徴的な役割を担ってきた人物だ。
周新民氏: 中国航空工業集団(AVIC)の前董事長。2024年3月にトップに就任したが、わずか1年足らずで公式サイトから名前が抹消された。解任直前まで同社の反腐敗会議を主導していた。
劉倉理氏: 中国工程物理研究院の前院長。核兵器開発の責任者であり、米カリフォルニア工科大学の博士号を持つ中国科学院の院士(最高ランクの研究者)。
羅琦氏: 中国核工業集団(CNNC)の総工程師。原子力発電および核動力システムの技術中枢を担う中国工程院の院士。
特にAVICを巡っては、前任の譚瑞松氏も汚職で失脚しており、航空軍事分野における構造的な腐敗の深刻さが指摘されている。
「2035年強軍夢」への致命傷
習近平氏は、2035年までに「軍の全面的な現代化」を実現し、米国に匹敵する軍事強国となる目標を掲げている。しかし、相次ぐ軍高層部や軍工エリートの失脚は、この計画に大きな影を落としている。
ロイター通信などの海外メディアは、「解放軍内部に深く根を張る腐敗こそが、現代化の進展を阻む最大の要因だ」とする米国防総省の分析を引用。兵器開発のリーダーたちが相次いで排除される現状に対し、技術開発の継続性や軍の士気低下は避けられないとの見方が強まっている。
権力掌握の誇示とリスク
4月に予定されているトランプ米大統領の訪中を前にしたこの時期の動きについて、専門家は「習氏が党・国家・軍のすべてを完全に掌握していることを国際社会に示す狙いがある」と分析する。
一方で、張又俠氏という軍の実力者に続き、技術基盤を支える重鎮たちまでが粛清の対象となったことで、軍内部の指揮系統やサプライチェーンに混乱が生じるリスクも指摘されている。
中国、軍工重鎮3人を一斉解任 張又俠氏に続く「大粛清」か
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