購買力の観点からみたウォンの実質価値が金融危機当時の2009年以降で最も低い水準に落ち込んだ。
国際決済銀行(BIS)によると、9月基準でウォンの実質実効為替相場(2020年=100)は90.57と集計された。昨年12月の非常戒厳事態でウォン相場が1ドル=1480ウォン水準に急落した当時の90.97より下がった。年間平均で見ると1~9月基準90.87で、金融危機の衝撃が大きかった2009年の86.96以降で最も低かった。コロナ禍の2022年の94.88よりも低い。
実質実効為替相場は主要通貨が貿易相手国と比較して実質的にどれだけ価値を持つのかを示す指標だ。為替相場変動だけでなく国同士の物価差、貿易の割合などを反映して各国の通貨の購買力を示す。基準値である100より下ならその通貨の購買力が基準時点の2020年平均より低いという意味だ。
ビッグマック指数で比較したウォンの価値も同様だ。7月基準で韓国のビッグマック指数は3.84ドルで、米国の5.79ドルより33.6%低く評価された。低評価幅は調査が始まった2000年4月以降で最も大きかった。英経済誌エコノミストは各国のマクドナルドで販売されるビッグマック価格を米ドルに換算して発表している。
ウォンの価値が下がる理由は複合的だ。海外株式に投資する個人投資家と韓国の輸入企業のドル需要、外国人の韓国証券売り越しなどが重なっている。根本的には2022年から続いている、米国の金利が韓国より高くなる金利逆転現象、韓国政府の拡張財政にともなう流動性増加なども原因に選ばれる。米国の関税政策と関連し3500億ドル規模の対米投資の不確実性、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利の不確実性もやはりウォン安をあおる要素だ。
過去にはウォンが下がれば輸出企業の価格競争力が高まり経常収支と貿易収支の黒字につながる効果があった。だが多くの企業が各種原材料を海外から仕入れて加工し輸出するなど一層複雑になった現在の韓国の産業構造ではこれ以上通じない公式だ。むしろ海外輸入製品の価格上昇をあおり、国内物価を上げる要因として作用する。
梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「中長期均衡為替相場水準を好転させるためには輸出好調傾向を継続して税制をはじめとして韓国企業の投資を増やす環境を作らなければならない」と話した。
ウォンの購買力、2009年の金融危機以降で最低水準に急落
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