米国、台湾、韓国、オランダ、そして「意外な国の名前」
韓国は、日本が得意としていたメモリ分野において、日米半導体協定の後、急速にその存在感を高めています。今やサムスン電子が世界的なメモリ半導体メーカーとして君臨するだけでなく、SKハイニックスも存在感を高め、世界のメモリ半導体の21%のシェアを持っていると言われています。
ただ、韓国の企業はIDMが中心であり、その点ではかつての日本のように、水平分業に適応できていないという言い方もできます。サムスン電子はファウンドリ事業に乗り出しましたが、必ずしも成功しているとは言えず、韓国の半導体産業も、一つの分岐点に来ている状況にあるかと思います。
オランダは、半導体製造装置、なかでも半導体の性能を決定づける重要な役割を果たす、エッチングのための露光装置の生産で圧倒的なシェアを持っています。元々は総合電機メーカーであるフィリップスの一部門であった露光装置部門が独立してできたのがASMLであり、深紫外線(DUV)露光装置や、さらに微細な加工を可能にする極端紫外線(EUV)露光装置を生産しています。後者は世界でASMLだけが生産できるものです。
このように、半導体生産過程における重要な役割を果たすのは、これら5か国ですが、それ以外にもパッケージングではマレーシアなどのグローバルサウスの国々も重要な位置を占めていて、インドのように、半導体製造の能力をこれから構築しようという国もあります。
これまで述べてきたように、半導体は次世代産業において決定的な役割を果たすため、どの国も、自国で生産することを目指しています。しかし、半導体産業を育成していくためには巨額の投資が必要なだけでなく、豊富な水や電力、半導体製造にかかる技術を有する人材、さらには、台湾の新竹におけるサイエンスパークのような半導体製造のエコシステムを持たなければ新規参入が難しく、その障壁の高さゆえ限られた国での生産となっているのが現状です。
半導体生産プロセスで重要な役割を果たしている「トップ5か国」とは?――
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