業績速報値公示では事業部別に売り上げなど詳しい内容は明らかにしない。ただ業界でDS(半導体)部門の3事業部のうちファウンドリー(委託生産)とシステムLSI(設計)事業の赤字が続き、メモリー事業部も広帯域メモリー(HBM)など高付加価値製品で明確な業績改善を果たせなかった影響とみる。4-6月期はスマートフォン新製品発売効果が薄れていくMX(モバイル経験)事業部のオフシーズンで、テレビと家電事業もトランプ政権の関税政策の影響などで需要が萎縮した状況だ。
サムスン電子は業績不振に対し異例の説明文を出し、「半導体部門の利益減少は在庫充当と先端人工知能(AI)チップに対する対中制裁の影響」と明らかにした。旧型HBMの在庫をすべて販売できない恐れがありこれを評価損失として反映したために業績が悪化し、米国の対中半導体輸出制裁でファウンドリーなど非メモリー半導体事業に制約があったという説明だ。サムスン電子関係者は、下半期に半導体が売れ在庫がなくなれば業績は反騰できると付け加えた。
米中先端技術競争局面で中国は韓国の電子産業に複合的変数として作用している。サムスン半導体は「輸出市場としての中国」の激変で打撃が大きい。米国が1月から中国へのすべてのHBM輸出を防ぐとサムスンの旧型HBM輸出が急減した。AIチップ市場の支配者であるエヌビディアの主力供給網に含まれなかった状態で中国輸出の門戸まで狭まったのだ。
サムスンファウンドリーも同様の苦悩を抱えている。サムスンは2019年にバイドゥの先端AIチップ生産を受注するなど中国でファウンドリー事業の仕事を得てきた。ところが米国の制裁強化によりこの道が狭まり、米ビッグテック顧客は台湾TSMCが独占する状況でサムスンファウンドリーの稼動率低下が続いている。
一方、この日サムスン電子理事会は3兆9119億ウォン相当の自社株買いを議決した。このうち1兆1000億ウォンは役員社員の賞与支給などが目的で、残りは株主価値向上目的で消却する計画だ。昨年11月に10兆ウォン規模の自社株買いを議決したのに伴ったものだ。この日サムスン電子の株価は前日より0.49%下落の6万1400ウォンで取引を終えた。
サムスン電子の営業利益56%急減…「対中制裁の影響」異例の説明
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