カナダで開催の主要7カ国首脳会議(G7サミット)には、メンバーの7カ国以外の国の首脳や国際機関のトップも招待されている。招待国の首脳らを交えた討議は「拡大(アウトリーチ)会合」と呼ばれているが、なぜ慣例となっているのか。
拡大会合への招待国は議長国が選び、G7各国との会合を設定する。今回のサミットの拡大会合にはオーストラリア、ブラジル、インド、韓国、ウクライナなどの首脳が参加する予定だ。
サミットの主要議題を巡っては、ウクライナ和平や経済発展に向けた人工知能(AI)技術の活用などが挙げられているが、食料危機や気候変動といった地球規模の課題はG7だけでの解決は難しい。そこで注目されるのが拡大会合だ。
先駆けとなったのは、2000年の九州・沖縄サミットだ。議長を務めた森喜朗首相(当時)は、南アフリカ、ナイジェリア、アルジェリア、タイの4カ国の首脳を招待し、先進国の首脳と意見交換する場を設けた。途上国との首脳レベルの対話の機会が設けられたのは、この時が初めてだった。
それ以降、拡大会合は議長国の国際戦略の側面もあり、サミットで恒例に。23年5月に開かれたG7広島サミットで、議長を務めた岸田文雄首相(当時)は、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国、途上国6カ国の首脳を招待し、連携強化を訴えた。ロシアや中国が国際秩序を揺さぶる中、課題や価値観を共有してグローバルサウスの取り込みを図った。
今回のサミットでも、議長国カナダのカーニー首相がかねて関係悪化が指摘されていたインドのモディ首相を招待。貿易相手国の多様化を目指すカナダにとって、関係修復を演出する場となる可能性が指摘される。
なぜインドや韓国の首脳もG7サミットに参加? 先駆けは日本開催
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