尹前大統領が与党からの離党表明「私はきょう去ります」中道層取り込みは限定的か

【ソウル＝桜井紀雄】韓国で「非常戒厳」宣布を巡り弾劾罷免された尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領は17日、保守系与党「国民の力」を離党すると表明した。離党について「大統領選の勝利と自由民主主義を守るため、今私にできる最善の道だと考える」とフェイスブックに投稿し、6月3日の大統領選での与党の金文洙（キム・ムンス）候補の勝利に向けて保守陣営が結束するよう呼び掛けた。

革新系最大野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）候補が支持率で大きくリードする中、戒厳に批判的な中道層を取り込むため、尹氏の離党や除名を求める声が与党内で高まっていた。与党臨時トップの金竜泰（キム・ヨンテ）非常対策委員長は今月15日に尹氏に離党を求める考えを示していた。

尹氏は、国会で法案可決の主導権を握ってきた共に民主党が政権も掌握する可能性が高まっていることを念頭に、「今回の選挙は全体主義的な独裁を阻み、自由民主主義と法治主義を守る最後の機会だ」と主張した。

金文洙氏は、戒厳後も尹氏を擁護する立場を貫き、尹氏の支持者ら強硬な保守層の支持を集めて党内予備選を勝ち抜いた経緯がある。12日の選挙運動開始後は戒厳について謝罪したものの、尹氏の離党問題には消極的な姿勢を見せてきた。憲法裁判所による尹氏の弾劾罷免決定をなおも批判しており、尹氏の離党による支持率の浮揚効果は限定的と予想される。
https://www.sankei.com/article/20250517-C45C52BLX5KTRP5CPSUUWE3VOA/